第42 代理事⻑ 森木 和也

建国から約2700 年の歴史を誇る世界最古の国、日本。なぜここまで⻑く繁栄し続けることができたのでしょうか。それは、この国を思う強い愛国心があったからだと思います。国を愛する気持ちが原動力となり、その力が日本を進化させてきたのです。同様に、この地域にも古くから続く豊かな歴史があります。この⻑い年月、脈々と受け継がれてきたこと自体が、尊くかけがえのないものです。この地に生きる私たちは、先人たちが築き上げた歴史に感謝し、この地を深く知り、愛し、そして次世代へと繋いでいく使命を担っています。過去から未来へとバトンが渡されているからこそ、今の私たちがここにいるのです。

はじめに

日本は世界で最も⻑い歴史を持つ国であり、その歴史の中で私たちがこの国に住み暮らしていること自体が、奇跡であり、深く感謝すべきことです。そして、この地域にもまた、⻑い歴史があります。かつて相良藩として栄え、明治時代には茶畑の開墾が進められ、大東亜戦争では戦地となったこの地を、数多くの偉人たちが命を懸けて守り、私たちに未来をつないでくれました。そのおかげで、今の私たちはこの豊かな土地で生活を営むことができています。近年、海外の文化を取り入れ、その文化が 「かっこいい」と称されることが増えています。しかし、何度か海外に行った経験から言えるのは、日本こそが真に素晴らしいということです。特にこの榛南で暮らすことの幸せとありがたさを、改めて実感しました。日本の歴史と文化、そして榛南の地が持つ価値に気付けば、自ずと地域を愛する気持ちが芽生え、地域は守られ、成⻑していくことでしょう。今こそ、この価値に気付く時です。榛南⻘年会議所の次世代を担う、熱意溢れる若き未来のリーダーたちが、この地を牽引していくことが何よりも重要だと考えています。共に、この地の未来を切り拓き、変えていきましょう。

無限の価値がそこにはある

榛南地域の現状として、人口減少や少子高齢化という地方が持つ大きな問題も抱えており、牧之原市と御前崎市が消滅可能性自治体に選ばれているという深刻な課題もあります。この町を構成しているのは「人」。その人々が、この町に可能性を見出し、信じて行動しなければ、消滅する危機は現実のものとなるかもしれません。しかし、私たちが力を合わせて動き出せば、榛南には無限の価値が広がっているのです。円柱を思い浮かべてください。正面から見れば⻑方形、下から見れば円。しかし立体的に捉えれば、それは円柱です。視点を変えることで、新たな価値や可能性が見えてくるのです。同様に、榛南地域にはまだ隠された価値がたくさんあります。本当の姿は一つではなく、見方次第で無限の可能性が広がるのです。榛南地域を外から見てみると、空港、高速道路、バイパス、港といった交通インフラが整っています。これほど恵まれた場所は、そう多くはありません。海と山に囲まれ、豊かな自然と共に美味しい食材にも恵まれています。静波の日本最大級のウェーブプールや吉田公園、マリンパークといった遊び場も充実。毎週のようにイベントが開催され、温泉施設もあります。これだけの要素を組み合わせれば、榛南は他にはない「オリジナル」な地域となり、無限の価値を秘めています。私たちがこの地域に住み、活動している限り、榛南地域は消滅することなど決してありません。私たちは榛南地域の価値をあらゆる角度から見出しこの地域を発展させていかなければなりません。私たちが住み暮らすこの地に無限の価値がある。それを信じ、未来に向けて共に行動していきましょう。

道徳と経済

600 もの農村の復興と財政再建を行い、報徳思想を全国へと普及させ、今も尚多くの経営者に対して多くの影響を与えている偉人である二宮尊徳。彼の有名な言葉に「 道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」というものがありますが、これは私が非常に共感する言葉です。現代の資本主義社会では、お金に目が行きがちですが、本当の価値とは何でしょうか?お金があるから偉いわけではなく、どれだけ良いことを言っても、行動が伴わなければそれは単なる口先だけに過ぎません。日本における道徳教育は、戦前には小学校で年間70 時間ほどの授業が行われていましたが、近年ではその時間数が減少し、年間35 時間に削減されました。さらに、道徳の授業が形式化され、教育の現場でその重要性が軽視される傾向が見られるのが現状です。このような背景の中で、道徳教育の重要性を再認識し、学び続けることがますます大切です。経済活動だけを学ぶことは、二宮尊徳が指摘する通り「犯罪」に近づきます。経済には「世のため、人のため」という利他の精神が必要不可欠です。学びの姿勢は、ただ受動的に行うのではなく、能動的に参加してこそ意味があります。自分が所属する組織や活動について深く知ることは、愛国心や地域に対する愛情にもつながります。歴史や目的、目指すべき方向を知ることで、自然とその場所や活動に対する愛情が生まれ、自己肯定感や自信、安心感へと変わります。マインドが変われば、行動も変わります。だからこそ、榛南⻘年会議所では、各自が学び、互いに高め合い、成⻑していくことが必要です。この地の若きリーダーとして、私たちは共に学び成⻑し、その力を地域の発展に活かしていきましょう。

戦略的なブランドづくり

榛南地域の認知度はまだまだ低く、この地を知らない人も多いのが現状です。認知されていない地域は、移住や訪問の候補にも挙がらないため、結果として人は認知度の高い地域へ流出していきます。これは「知られること」がその地域に人や経済の流れを生み出すマーケティングの基本的な考え方であり、地域の持つ本来の価値が知られていないことが、大きな課題となっています。この状況を打破するためには、私たち榛南⻘年会議所が地域のブランディングに率先して取り組むことが必要です。まずは、地域の魅力を整理し、誰にどのように伝えるべきかを明確にしなければなりません。さらに、SNS のような現代のツールを活用し、効果的な発信を行うことが求められます。ただ単に情報を発信するだけではなく、明確な目的やターゲットを定め、戦略的に認知度を向上させる必要があります。榛南という名は、県内でもまだ十分に知られていません。しかし、私たちが率先して学び、地域のリーダーとして情報発信を行うことで、この地域の名前を広く知ってもらうことができます。そして、榛南地域の魅力を国内外に発信し、地域のブランド価値を高めていく役割を担っていくべきです。私たちは、この地域を「住みたい」「訪れたい」と感じてもらえる場所にするために、地域の認知度向上に向けて積極的に活動を展開していきましょう。最終的なビジョンとしては、榛南地域が国内外で認知され、魅力的な移住先や観光地として注目されるようになることです。それにより、地域の活性化や経済効果が生まれ、さらなる発展へとつながります。私たち榛南⻘年会議所がその牽引役となり、地域を次世代に繋ぐ重要な役割を果たしていきます。今こそ、榛南地域を未来に繋ぐための一歩を共に踏み出しましょう。

一人一人が代表 全員拡大

榛南⻘年会議所はかつて100 人以上のメンバーがいましたが、年々その数は減少し、2025 年には20 人以下でのスタートとなります。メンバーの減少は、組織の活動に大きな影響を与えます。人数が減ることで、活動の多様性が失われ、アイデアや意見が乏しくなり、活動の幅も限られてしまいます。また、メンバーが少ないとリーダーシップを発揮する機会が限られ、次世代のリーダーを育成しづらくなる懸念があります。さらに、減少しているというイメージがあるため、地域に対する影響力も弱まります。数は力と言われるように、メンバーが多いほど、より強い連携を築き、効果的な活動を展開できるのです。同じ志を持つ同年代の仲間とのつながりは、かけがえのないものです。これから会社を大きくしようとする人や、地域で仕事を展開する若きリーダーにとって、このつながりこそが重要です。榛南⻘年会議所の活動を通じて得られるこのつながりは、今後の地域発展に不可欠な存在です。だからこそ、今まさに地域で活躍する若きリーダーたちに、この組織の素晴らしさを伝え、会員を増やすことが必要です。これは榛南⻘年会議所の未来にとって重要であると同時に、地域の若き経済人にとっても大きな機会を提供するものです。メンバーが一人でも多ければ多いほど、地域社会や経済に与える影響は大きくなります。私たちは、地域を変革する重要な組織として、全員で力を合わせ、拡大活動をしていきましょう。共に活動し、榛南地域の未来を切り開いていくことが、私たち全員の使命です。

結びに

2017 年に入会してから早いもので7 年が経ちました。尊敬する先輩や大切な同期が幾人も卒業していく中で、多くのつながりを榛南⻘年会議所で得ることができました。正直、辞めたくなったことも何度かありましたが、その度に後ろを振り返ると数値では表せないほどの大きな支えや絆が存在していることに気づかされました。40 歳までという限られた期間、同世代が真剣にぶつかり合い、切磋琢磨し、熱い想いを語り合える場はそう多くはありません。私はこの国が大好きです。そして、この榛南地域が大好きです。この素晴らしさを後世に伝え、日本国内でも注目を集める地域にしていきたいという強い思いがあります。しかし、一人では何もできません。志を同じくする仲間たちと共に行動し、この地を育んでいきたいと思います。思ったことを率直に言い合えること、それこそが私たちの組織の価値です。この素晴らしい組織と仲間たちと共に、未来へ挑戦していくことに、心からワクワクしています。「俺らがやらなきゃ、誰がやる!」という強い信念のもと、榛南から日本へ、そして世界へ、この想いを届けていきましょう。