第40代理事長  山口 真裕

 榛南青年会議所は、1984年6月24日に創立され、日本で730番目の LOM として誕生しました。創立以来長きにわたり、「明るい豊かな社会の実現」に向けて、諸先輩方が青年会議所運動にご尽力されて来たことに心より感謝いたします。受け継がれてきたまちづくりに対する熱き想いや無償の愛を次代につなぎ、榛南という二市一町に住み暮らす人たちのため、そして、この地域のためを想い、一つ一つの活動を大事にし、仲間たちとともに心を込めて、時代に即した運動を展開し続けていきます。


はじめに

 私は、2018年度8月にこの榛南青年会議所に入会いたしました。当時、私が商売を始めたばかりであり、諸先輩方から「青年会議所は人脈づくりや自己成長に最適の場所である。」と入会を勧められました。いま思い返せば入会の誘いがあったからこそ、たくさんの諸先輩方や同年代の分け隔てない仲間に出会うことができました。

 入会間もない頃の私は、青年会議所の活動をしていく中で、主役を務めるよりも2番手、3番手でいいと甘んじておりました。しかし、2020年度にひとづくり委員会の委員長に選出していただいた際、「この榛南地域の子どもたちの未来を想い描き、何ができるだろう。何を伝えればいいのだろう。」と毎日真剣に考えました。委員長を経験して初めてこの地域の子どもたちを想い、この地域の将来について真剣に考えることに1年間情熱を
注ぎ、仲間たちと語り合いながら運動を展開したことで考え方が変わりました。さらに、リーダーシップを発揮できたことで自身が成長できたと思います。私は、入会5年という短い時間の中で、たくさんの経験を積ませていただいたからこそ、自信の成長を実感することができました。青年会議所は自らが望むことで大きく成長できる場所だと考えます。

さて、私たちが住み暮らすこの地域は、以前から少子高齢化や人口減少など様々な社会的課題があり、国が2014年に地域経済の活性化などを目指す地方創生の政策を講じました。しかし、榛南青年会議所は1984年から「創立宣言文」の下、「明るい豊かな社会の実現」を理想とし、この地域の課題や社会情勢の変化を見据え、これまで多くの諸先輩方がこの地域を想い、時代に即したたくさんの運動を展開されてきました。これらの運動は、この地域に住まう人々や社会に多くの共感を生んできたに違いありません。私はこの先も榛南地域に住み暮らす多くの人々から、運動や活動に対するさらなる共感を得て、地域の方々とともに、地域の未来を築き上げていきたいと思います。近年、新型コロナウイルス感染症の拡大が進み、今もなお終息の目途が経っておりません。しかし、コロナ禍だから運動ができないのではなく、ウィズコロナの時代に合わせた運動を展開しながら何事にも挑戦し、2023年度という1年を全力で駆け抜けましょう。


当事者意識を持ち、自己成長するために

私たち青年会議所はセレモニーの中で信念を唱えます。これは青年会議所の会員として活動する原動力でありますが、皆がこの信念を理解して運動を行っていると言えるでしょうか。運動の根本を理解した上で活動していくことで、地域に対する課題を私たちが解決するという強い当事者意識を持つことができます。JCI Creedの第6節の解説に「我々は何のために運動するのか、それは決して自分のためだけではありません。暗黙のなかで社会を照らす先駆けとなり、利他の精神をもち、世のため人のために活動するのです。」とあります。今一度、会員一人ひとりが誰のために、何のために運動を続けていくのかを考え、当事者意識を持ってこの榛南地域をより良くしていくための運動を展開していきましょう。

青年会議所は、単年度制であり組織が1年で入れ替わりながら「明るい豊かな社会の実現」に向けて運動を続けています。この単年度制においては、毎年組織の構成が変わり、会員の立場や役割も変わります。環境が大きくが変わることで、多くの経験をする機会が与えられ、様々な交流をすることができます。榛南青年会議所の運動や活動をしていく中で、この榛南地域を想い、当事者意識を持って自ら考え、積極的に行動をしていくこと、多くの経験をすることが自己成長へとつながると考えます。

また、青年会議所は出向という学びの場も提供されています。他 LOM の会員との新たなつながりや見識を広げ、静岡県内、さらには日本の社会問題の解決に向けて邁進し、その成長をLOMに還元することで、さらなるLOMの成長にもつながります。自ら成長し、組織の成長へつなげよう。


地域の魅力を伝播させるために

この榛南地域に住み暮らす人たちは、この地域が好きだからこそこの地域で仕事をし、住居を構え、子どもを育てます。自然が好き、土地柄が好き、人が好きなど好きな理由は人それぞれでありますが、魅力と好きはイコールだと私は思います。そして、手軽に情報を得られる時代だからこそ、私たちが広報する意味を明確にし、この地域にある数多くの魅力を率先して発信していくことで、多くの人を惹きつけることができると考えます。さらにこの榛南地域の将来の担い手である子どもたちが、魅力を知り、たくさんの経験をすることで、生まれ育った地域を大切にする心を持ち続けてくれると信じます。


未来につながる組織づくり

私は青年会議所に入会したからこそ榛南青年会議所の仲間や LOM の垣根を超えた仲間に出会うことができました。「青年会議所で出会えた仲間は一生の宝」という言葉を諸先輩方から聞くことがあります。運動や活動に尽力した者同志心から尊敬し合えるからこそ口にできる言葉だと思います。しかし、近年のコロナ禍で運動や活動の自粛、会議もオンラインに切り替わることが多くなりました。今一度、会員と本音で話し合える時間や交流
する時間が必要であると考えます。これは榛南青年会議所だけの問題ではありません。青年会議所は各地域に根差した運動を展開しており、地域に必要とされ、信頼される組織で在り続けなければなりません。まずは交流の中で互いを知り、絆を深め、切磋琢磨していくことができる関係を構築することが大切だと思います。

全国的に青年会議所の会員数は減少の一途を辿り、私たち榛南青年会議所も十年前と比べると会員数は半分以下となっています。しかし、この榛南地域に必要とされる組織であるために、私はこの榛南地域を想う仲間を拡大することが、組織づくりの基盤であると考
え、会員拡大を重要課題とし、諸先輩方が築いてこられた歴史と伝統を次代につないでいくためにも、会員全員で拡大に取り組みたいと思います。責任感と志の高い会員を仲間に迎え入れることで、交流や活動を通じて他の会員により良い影響が出て結束力が高まり、視野が広くなり、運動や活動の幅も広がります。まずは、会員全員が拡大をしていくことの意味を理解し、一丸となり継続した拡大活動に取り組みましょう。さらに私たちは、この榛南地域の未来を見据え、次代を担うリーダーを育てていくためにも、持続可能な組織づくりを構築していきます。


創立40周年を迎えて

 近年の時代の変化に伴い、オンライン化を始め、人とのコミュニケーションの取り方や仕事の仕方などが変化しつつあり、今後はいままで以上に価値観やライフスタイルが多様化する時代になると予想されます。しかし、どのような時代が到来しても、次代の担い手である子どもたちには、たくさんの経験を通じて将来の可能性を広げ、豊かな心を育みながら成長して欲しいと考えます。そして、子どもたちには、この榛南地域の経済や地域の発展に貢献していく人財になることを願います。まずは、私たち榛南青年会議所が、この榛南地域が活力溢れる地域になることを想い描き、次代の担い手が活躍する土台を創っていきます

「榛南」を愛してやまない諸先輩方が紡いでこられた39年という歴史のおかげで、本年度、榛南青年会議所は創立40周年という節目を迎えます。榛南地域の課題に対し、まちづくりやひとづくり、人財育成などにおいて数多くの運動を展開し、築き上げられてきた歴史によって、私たちの運動や活動は成り立っています。創立40周年を迎えるにあたり、歴史を紡いでこられた諸先輩方に敬意を表するとともに、この榛南地域に住み暮らし日頃より多大なるご支援、ご協力をいただいている方々に感謝を伝え、45周年、そして50周年と次代につながるように、榛南青年会議所を成長させていきます。


結びに 青春を仲間とともに胸に刻む

 私にとって榛南青年会議所の理事長職をお預かりすることは挑戦です。何事にも挑戦することの大切さを諸先輩方から教えていただきました。40歳を目前として挑戦することができる榛南青年会議所に、そして、諸先輩方、仲間に感謝いたします。

明るい豊かな社会の実現に向けて、2023年度は組織づくりとして会員拡大を課題として活動していきます。まだ見ぬ仲間とともに活動することを期待し、榛南青年会議所がさらに地域に根差した団体となるよう、運動を展開していきます。青春という言葉は主に10代を指します。10代の頃は自身の夢や希望に満ち溢れていたのではないでしょうか。榛南青年会議所は、この地域の想いを描き、仲間とともに運動をしていく中で、10代の頃に戻ったように楽しみながら、がむしゃらに挑戦し続け、時には時間を費やしつつも、仲間と切磋琢磨することのできる唯一無二の団体です。

1日1日を大切にし、仲間と友情を育みながら、私たちにしかできない運動をしていきましょう。